
2019年に就任した埼玉県の大野元裕知事は、公約として「あと数マイル・プロジェクト」を掲げました。この構想は、埼玉高速鉄道(SR)の延伸に加え、都営大江戸線(12号線)、有楽町線(8号線)、日暮里・舎人ライナー、多摩都市モノレールを埼玉県内へ延伸し、鉄道利便性の向上を目指すものです。
新型コロナウイルスの影響で鉄道事業者の経営環境が悪化したものの、埼玉県は調査や検討を継続し、2026年に報告書を公表しました。その結果、各路線とも延伸の意義は認められた一方で、事業費や採算性、用地確保、運行能力など多くの課題があることが明らかになりました。
SR延伸は浦和美園~岩槻間を経て2040年代の開業を目標としており、計画の実現に向けて最も具体的に進んでいます。一方、有楽町線延伸は事業規模が大きく方向性が定まっておらず、多摩都市モノレールは人口密度の低さや道路整備が課題です。
日暮里・舎人ライナーは深刻な混雑により、延伸後の利用者増への対応が難しいとされています。比較的実現可能性が高いのは都営大江戸線の東所沢方面への延伸ですが、採算性の確保や東京都と埼玉県の連携が必要です。
また、SRを含む各路線の延伸は、沿線開発やまちづくりと一体的に進めることが重要とされています。しかし、開業が見込まれる2040年代には埼玉県の人口減少や生産年齢人口の減少が予測されており、将来的な需要確保が大きな課題です。
そのため、「あと数マイル・プロジェクト」の実現には、今後も多くの課題を解決していく必要があります。

