青春18きっぷで移動する人を、俗称でキッパーと言いますが、私がキッパーとなって関西に行く時に、最大のネックとなる区間が、静岡県の区間(一部愛知)の熱海から豊橋の間で、特に、静岡県内の熱海から浜松の区間です。この区間は、JR東海の陰謀で、新幹線に乗客を誘導するために、特急やライナーを除き、9割5分以上の在来線の車両は、人を詰め込むための、居住性が悪いロングシートの車両です。
しかも、あろうことか、長距離の運用でも、トイレのない211系のみの編成が、ガチで運用に入る区間です。まあ、ジモティー(地元住民)にとっては、短距離しか乗らないので、ほとんど問題にはなりませんが、キッパーでの長距離移動時には、本数の少ない関ヶ原越えの区間に合わせて計画を立てると、どうしても、211系のみの長距離列車に乗らなくてはならない時もあり、211系にあたってしまい、トイレに行きたくなると、その場で行程の変更を余儀なくされることもしばしばあります。
余談ですが、JR東日本で運転されている、中央線や大糸線、両毛線や吾妻線、上越線の高崎から水上間や信越線の高崎から横川間やで使用されている211系で、トイレのない運用は、見たことがありません。
だいたい、茨城県からスタートすると、熱海8:47発の1437M沼津行で沼津まで行き、沼津9:12発の753M島田行に乗車し、静岡まで行き、財布にゆとりがあれば、静岡から浜松の区間を2,300円位の出費で、新幹線を使ってワープし、東海道線を乗り継いで関西入りすることが結構あります。熱海発のJR東海の特急がないので、熱海発の1437Mは、この区間こそまさに211系の6両でいいだろうと思う区間ですが、何故か昔から、373系の6両編成で運転する乗り得区間で、短時間ながら快適に過ごせます。
しかも、この日は平日で、人も少なかったので3両編成の中間車の両端と、トイレのないクモハ373の運転台の反対の車端部にある、セミコンパートメントに座ることができました。セミコンパートメントは、リクライニングしない代わりに大きなテーブルを使うことができ、特急で乗ると、指定席扱いらしいので、自由きままに乗るには、普通列車の運用を探すしかなさそうです。
と、快適な時間を過ごせるのも束の間、沼津9:12発の753M島田行は、昔から211系の3両編成。沼津駅では改札の近くにトイレのある昭和の構造で、乗り換え時間にトイレに行く余裕はあまりないので、沼津までの1437Mの車内で済ませるのが賢明です。
この日は富士山がきれいに見えました。下り電車なので、上りの架線やら、信号ケーブルが、どうしても映り込んでしまいますが、なるべく電車がガータ橋を渡るときに撮影すると、障害物が少なく撮影できます。
本当は静岡まで行こうと思っていましたが、由比のあたりからお手洗いに行きたくなり、清水付近では限界を迎えようとしていました。恨み節を残し、止む無く清水駅で、この753M島田行を下車しました。211系にせめて313系の2両がついていれば、下車する必要はなかったのに…
お手洗いを済ませ、改札の右横の売店に行くと、何やら怪しげな、見たことのない黒いコーティングで、真ん中に白いものがついているパンが、目立った場所に陳列されていました。近づくと、「ようかんぱん」と書かれた袋に入ったパンがありました。更に、店の奥を覗くと、ちょうど「由比のあたりの桜えび、いつか下車して食べたい」とぼんやり思っていた矢先に、この「桜えび寿司」が視界に入ってきました。迷わず、この2品を購入しました。
次の電車の、清水を10:08発の、313系の755M浜松行に乗りました。
313系に乗って、トイレの心配がなくなったのと、新幹線代を美味しいも代にしようと思い、静岡で下車せずに、浜松まで乗りとおすことにしました。静岡を発車して焼津あたりまでは車内が比較的混んでいましたが、次第に空いてきたので、ようかんぱんにかじりつくことにしました。よく見ると、袋には3匹のパンダが描かれており、「つぶあんちゃん」「ばにら」「ようかん太」の名前がついています。
そして、いざかじってみると、コーティングのようかん部分は、コンビニのレジにあるような、くそ甘い味を覚悟していましたが、意外にあっさりした甘さでした。中から出てきたつぶあんに、一瞬ヤバイものを買ってしまったとかと思いましたが、思いのほか甘くなく、食べ進めることができました。しかし、真ん中のバタークリームは、ガチで大甘で、よく言えばパンの中の甘味のアクセントとなっています。
ようかんぱんを完食し、いざ、桜えび寿司を開封します。売店の姉様の曰く、清水市内では有名な老舗の末廣鮨謹製とのことです。約13センチ四方の正方形の箱に、ご覧のとおりびっちりと桜えびの佃煮が、色鮮やかに入っています。大きなお世話ですが、食材原価率が非常に高そうです。これで何と650円?!だったと記憶しています。
そうこうしているうちに、浜松に到着しました。浜松でうなぎ弁当を買おうとしたところ、売切れで、仕方がなく、「うなぎまぶし」弁当を買いました。浜松のうなぎかと思って食べていましたが、よく見ると、白米に国産米の記載があるのに、鰻蒲焼の後に何も書いていないところを見ると、中国産を使っている可能性もあります。これを見ると、もう浜松駅でうなぎ弁当を買う気がなくなります。何せ、新所原の天竜浜名湖鉄道の駅舎内に、浜名湖産のうなぎ弁当がリーズナブルに買えるんですから。
開封すると、こんな感じで、刻んだうなぎと錦糸卵と、うなぎの肝の佃煮と紅ショウガがまぶされていました。
ようかんぱんと桜えび寿司とうなぎまぶし弁当の合計が、約2,400円。静岡から浜松までの乗車券と新幹線の自由席特急券の合計が約2,300円なので、ちょっとした贅沢でしたが、前半のようかんぱんと桜えび寿司の組み合わせの満足度とコスパの高さを確認できた、清水の途中下車でした。