
JR芸備線の三次~広島間は、広島市内への通勤・通学利用が多く、2024年度の平均通過人員は8,829人/日と、前年より増加しています。沿線の三次市、安芸高田市、広島市は、芸備線を重要な交通手段と位置づけ、JR西日本や国土交通省とともに機能強化を検討しています。
機能強化策として、朝夕の列車増発、災害による遅延・運休の削減、全駅へのICOCA導入、新型車両の導入、駅のバリアフリー化などが挙げられています。特に列車を増発するには、全線単線である芸備線に行き違い設備を増設する必要があり、JR西日本は2カ所への整備を前提としたA案とB案を示しています。
A案は朝の増発を重視し、B案は運行間隔をそろえて分かりやすいダイヤを目指す内容です。ダイヤを検証すると、2カ所だけでなく、さらに行き違い設備を整備することで列車の待ち合わせ時間を短縮できる可能性もあります。
ただし、設備整備には大きな費用がかかるため、JR西日本だけで負担することは難しいと考えられています。そこで沿線自治体は、国の支援を受けられる「鉄道事業再構築事業」への移行を目指しています。
その場合、上下分離などによって自治体や第三セクターが線路設備を保有し、JR西日本の負担を軽減する仕組みが想定されます。一方で、自治体には新たな財政負担が生じるため、鉄道による経済・社会的な効果とのバランスを検討する必要があります。
分析では、芸備線が生み出す交通や地域への効果は、現在の鉄道事業の赤字額を上回っているとされており、機能強化によって沿線地域の活性化につながる可能性が示されています。今後は三次~広島間で事業構造の変更を進める一方、再構築協議会の対象となっている備中神代~備後庄原間についても、結論を先送りせず対応することが求められています。

