JR北海道の稼ぐ力プロジェクトと新体制
JR北海道は2026年9月16日(水)に「稼ぐ力」プロジェクトチームの提言を公表しました。まず提言では不動産や物流などの非鉄道事業を拡大する方針を打ち出しています。特に千歳線の沿線を重点開発エリアと位置づけました。また成果主義や外部人材の登用を掲げています。
さらに経営体制の刷新も発表されました。具体的には、2026年11月1日(日)付で社長補佐に元JR東日本副社長の西野史尚氏が就任します。加えて特別顧問には元国土交通省北海道局長の橋本幸氏を迎えます。このように外部の力を活用して、鉄道の再構築と都市開発を加速させる狙いです。
JR北海道が抱える黄色線区の現状
しかしJR北海道の鉄道事業は非常に厳しい状況が続いています。実際に、会社側が単独で維持困難とする赤字8区間、通称「黄色線区」は年間100億円を超える赤字を計上しています。なお対象となる区間は以下の通りです。
- 宗谷線(名寄〜稚内)
- 石北線(新旭川〜網走)
- 釧網線(東釧路〜網走)
- 花咲線(根室線:釧路〜根室)
- 富良野線(旭川〜富良野)
- 根室線(滝川〜富良野)
- 室蘭線(沼ノ端〜岩見沢)
- 日高線(苫小牧〜鵡川)
そのためJR北海道は設備を自治体が持つ上下分離方式を模索しました。しかし自治体の反発を受け、2026年9月に提案を撤回しました。ただし現在は、国と道が主導する新たな協議会で存続の道を探っています。
JR北海道に稼ぐ力を求める難しさ
例えば、JR東日本やJR九州は、都市部の不動産開発や商業施設で大きな利益を上げています。実際にその収益でローカル線の赤字を補う構造が成り立っています。一方でJR北海道の事業エリアは札幌圏を除くと人口減少が進む地域が大部分です。さらに寒冷地の除雪費用など維持コストも重くのしかかります。
したがって札幌圏の事業開発だけで黄色線区の赤字を埋めることには限界があります。また、鉄道ライターの小林拓矢氏も、民間企業的な稼ぐ力を求める前に国の枠組みを整えるべきだと指摘しています。つまりJR北海道単独の経営努力に頼る手法はすでに限界を迎えています。
JR北海道の鉄路をどう維持するか
まず国土交通省はJR北海道に対し、2027年3月末までに改善方策を取りまとめるよう命令を出しています。そのため、期限が迫る中で線区別の協議会が本格的に動き出しました。そこで今後は鉄道の存在価値そのものを多角的に見直す必要があります。
| 論点 | 現状と課題 |
|---|---|
| 非鉄道事業 | 札幌圏や千歳線沿線で開発を進めるが収益規模には限界 |
| 黄色線区 | 上下分離の提案を撤回し国と道主導の協議会で検討中 |
| 国の関与 | 農産物輸送や防衛など鉄路の役割に応じた公的支援が焦点 |
例えば北海道の鉄路は全国への食料供給を支える貨物輸送や防衛、災害時の代替ルートとして重要な役割を持っています。このように公共インフラとしての価値を国全体でどう評価するかが問われています。つまり、JR北海道の自力再建を急ぐだけでなく、持続可能な公的支援の議論が急務です。




