京町温泉駅は、昔の吉都線の京町駅から平成2年に改称された駅です。吉都線には、かつては博多と宮崎を結ぶ特急おおよど号が、鹿児島本線・肥薩線・吉都線・日豊本線を経由し、1往復運転されていました。1980年6月の時刻表によると、特急にちりんは485系電車特急で、特急にちりん5号の博多発は10:39で、宮崎には6時間47分後の17:26着、都城には7時間47分後の18:26着です。一方、特急おおよど号はキハ82系のディーゼル特急で、八代から単線非電化の肥薩線・吉都線を経由し、肥薩線の大畑駅と真幸駅でスイッチバックをして大畑ループを越えていくにも関わらず、8時25分に博多を出発すると、都城には5時間12分後の13:37着で、宮崎には6時間12分後の14:27着です。
つまり、博多から都城の間ならば、特急おおよどの方が約2時間40分早く到着でき、博多から宮崎でも、特急おおよどの方が35分早く到着できます。この区間には、博多から宮崎まで急行えびのも特急おおよどと同じ経路を1往復走っていて、2往復は熊本と宮崎を走っていました。博多発の急行えびの5号は、博多発14:21で、都城には5時間37分後の19:58着で、宮崎には6時間36分後の20:57着です。つまり、急行えびのですら、特急にちりんより約10分早く、博多から宮崎に到着することができていました。
時代は変わり、高速道路が整備され、高速バスが台頭すると、肥薩線・吉都線から優等列車は姿を消して、吉都線はローカル線になりました。ちなみに、特急・急行を含む全列車は、京町温泉駅の前身の京町駅に停車していました。
そんな京町温泉駅から徒歩2分の場所に、『京町温泉 山麓温泉』があります。山のふもとにあるわけでもなく、「なぜ山麓?」と思いますが、温泉の前の道が「山麓通り」と呼ばれていることから名付けられたそうです。浴室にはシンプルな浴槽が置かれています。お湯は京町温泉特有のモール泉で、少し色味がかっています。温度が非常に熱く、入った後は汗が止まりませんが、さらさらしたお湯なのでさっぱりした気分になります。昔は自噴していたそうですが、今はポンプで汲み上げているそうです。源泉の温度は57度で神経痛などに効くそうです。私も学生の頃に入りに行ったことがありますが、あまりに熱くて、入るまで10分以上かかり、入ってから20秒もたなかったと記憶しています。